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装置開発室の将来計画 分子研リポート2001 | 分子科学研究所

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Academic year: 2018

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将来計画及び運営方針 257

5-4-1 装置開発室の過去と現状

装置開発室は分子科学の新展開に必要な新しい装置を開発すると同時に,日常の実験に必要な部品類を迅速に製作 するという二つの役割をもっている。研究所創設当時は前者に対する要請が多く様々な大型装置を製作してきた。ま た極端紫外光施設が発足した当時も分光器や大型真空容器などの製作を手がけてきた。しかし,超高真空仕様の真空 槽や1990年以前は市販されていなかった種々の物性測定装置など,多くの装置を専門の製造業者がユーザーの注文に 応じて製作する時代が来るにつれ,研究者側は納期の早い製造業者に依頼するようになり,装置開発室には後者の迅 速性を求める部品的な依頼が多くなった。このような状況の中で,技官の製作意欲の向上を目指して平成3年度より IMS マシン制度が導入され,また名古屋大学など他研究機関との技官の人事交流がなされた。IMS マシンは特許に結 びつくような新規性のある装置のアイディアを公募し,それを具体化してゆく事を装置開発室が請け負った。それに 伴い,IMS マシンの専任スタッフをおいた。しかし,10年の歳月が流れる中で装置開発室の人的な構成が変化して,ア イディアを具体化する作業に時間を要するようになってきた。そのため,毎年積み残しの装置を抱えることになり,出 来上がった頃には発案者は転出しているという事態も少なくないという状況になった。また,IMS マシンに応募され る装置も新規性に乏しく,単に経費目的だけの提案も少なくない状況になった。「装置は作るだけでは無意味で,実験 に供せられて初めて意味をもつ。」この簡単な原則が装置開発室で失われがちであった。これは結局研究者との一体感 の欠如であり,アイディアを出した研究者にも責任のある問題である。

5-4-2 調査

このような状況の中で平成13年5月に西 信之・藥師久彌両教授により「独立行政法人化後の装置開発室のあり方に 対する調査」を所内グループリーダーと装置開発室技官に対して行った。これは独立行政法人化後に予想される厳し い評価に耐えられる体質をつけるために装置開発室の意識を改革すると同時に研究者の新装置開発に対する意欲を喚 起する事を目的としたいわば所内での点検評価に相当する。実際には調査項目が装置開発室の独立採算制さえも求め るような非常に厳しい項目を含んでいたために,装置開発室に与えたショックはかなり大きく反発もあった。調査に 対して様々な意見が出た。グループリーダーの意見としては「装置開発室を縮小して部品類の迅速な製作のみに専念 したほうが良い」という極端な意見もあったが,大勢は「新規性に富む装置の製作は優れた分子科学研究に不可欠な ので,開発的な役割も重視すべきである」という意見であった。技官側も開発的な仕事を期待している。この調査で はっきりしてきたことは研究者と技官の意思の疎通をよくし,一体感を持たせることの重要性であった。これは言う までもなく新しい装置の開発に欠かせない事であるが,同時に日常業務を迅速に処理する上でも重要であり,教官,技 官の両方にこの一体感を期待したい。

5-4-3 現在の取り組みと将来計画

上の調査で明らかになった「新規な装置の開発」と「部品類の迅速な製作」の両方をバランスよく処理するという 装置開発室に課せられた課題を達成するために下記のような方策を講じつつあるが,早急に達成する必要がある。

(1)装置開発

従来の IMS マシン制度を廃止し,これに替わるものとして「特別装置」の依頼を受け付け,今年度は500万円の予 算措置を講じた。今や IMS マシン制度の欠点となったアイディアだけの丸投げをやめ,依頼した装置の実現には依頼

5-4 装置開発室の将来計画

(2)

258 将来計画及び運営方針

した教官が責任をもって対応し,装置開発室と一体となって製作にあたる事を条件とした。また製作期間を6ヶ月以 内とし,一つの装置が完成するまでは次の公募は行わないことにした。平成13年度の特別装置は平成13年6月25日か ら7月23日まで,約一ヶ月間の公募期間を設け,薬師久弥教授と西 信之教授が審査にあたった。その結果,分子集団 動力学部門多田博一助教授の「ツインプローブ走査型顕微鏡」が採択された。今回はこの制度を設けてから実施まで に十分な時間がなかったために上の2人で審査を行ったが,次回からは各研究系から選ばれた審査委員会の下で審査 を行うことが必要である。

(2)製作日数の短縮化

装置開発室の依頼業務は機械工作が全体の約7−8割を占めている。このような背景もあって先の調査で特に機械 工作グループに対して多くの意見が寄せられた。特に部品類の製作日数の短縮が強く求められていたため,平成13年 より高松宣輝氏を新たに技術推進員として迎えた。さらに短期間で処理するためには,簡単な部品の製図を C A D シス テムで書ける技術推進員の雇用が必要である。この増員により,技官は長期の製作日数を要する業務に専念できるた め,設計にかかるまでの待ち時間を減らすことができる。平成14年1月下旬現在で,一ヶ月以上の製作日数を要する 物品が特別装置を含めて20件ある。機械工作の技官は一人当たり5件の長期依頼物件を担当していることになる。現 在,極端紫外光実験施設に一人を出向させているが,できるだけ早い時期に5人体制にして長期物件の製作時間を一 日でも早く短縮することが望まれる。以下が早い時期に求められる装置開発室の人員構成である。

機械工作グループ:技官5,技術推進員4(工作3,製図1) 電気回路グループ:技官3

ガラス製作:技官1 事務補佐員:1

(3)公開性

先の調査の結果を受けて装置開発室のホームページの中に機械工作グループのページを新たに設け,依頼物品の受 付け状況や進捗状況が分かるようにした。また,業務日誌も公開することにした。この他,機械設計に役立つ「基本 的な資料」や「装置開発室ではどのような機械工作ができるかをアピールするための資料」を掲載する準備をしてい るが,これを平成13年度内に完成させる必要がある。このような取り組みは機械工作部だけでなく,電気回路部,ガ ラス製作部でも求められる。各グループをまとめたホームページを一日も早く完成することが求められる。

(4)組織の再編

現在の装置開発室は機械工作部,電気回路部,ガラス製作部がそれぞれ独立に活動を行っているため,全体を統括 する役割の技官がいない。そのため上のホームページ作りにも現れているようになかなか足並みが揃わない。装置開 発室全体を統括する役割の技官を置くことが必要である。

(5)今後の基盤技術

装置開発室は限られた人員で活動しているので,分子科学の全ての分野で最高の技術をもつことは不可能である。そ の時代の研究系の要請に応じて基盤とする技術を特化する必要がある。現在装置開発室のもつ基盤技術として超高真 空技術があるが,これは,極端紫外光施設が設立されて以来,多くの超高真空容器を製作してきた経緯があるからで

(3)

将来計画及び運営方針 259 ある。現在,この分野はかなり成熟しており,専門の製造業者に依頼したほうが速くて確実なものが入手できる状況 になっている。分子科学研究所は平成14年度より分子スケールナノサイエンスセンターを新設する。この分野は技術 的にも未成熟の状態であるので,装置開発室の重点技術をナノサイエンスで必要とされる微細加工に関連する技術へ も向ける必要がある。

(6)工作機械類の更新

新しい基盤技術の養成には新しい装置の導入が必要である。平成13年度は所長のはからいでワイヤー放電加工機を 更新することができた。この装置により,切削溝の幅を従来の 270 µm から 40 µm へと大幅に縮小することができる。

また,将来的には製作したものの形状を精密に測定するための3次元形状測定機とレーザー測長器(10 nmまでの測長 可)が必要である。また,化学分析用の S E M は形状や表面粗さの観察を行う上で便利な装置であるので,老朽化した S E M を分子スケールナノサイエンスセンターで更新する事を希望する。この他,老朽化した NC 旋盤の更新が必要で ある。この他,製図作業の迅速化のために,年次計画で一台づつ更新している C A D 用のコンピューターの更新を急ぐ 必要がある。電気回路グループでは平成12年度にプリント基板製作装置の更新を行った。現在,高速オシロスコープ とロジックアナライザーが老朽化しており,早急に更新する必要がある。

参照

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